今回で5回目の大貫カメラインタビュー企画。
会社員の洪 伝明(こう でんめい)さんをゲストにお招きして、お話を伺いました。
洪さんがテーマとしているのは
        『光と影の美しさ』
洪さんのお話とともに、素敵な作品も是非ご覧になって下さい。
見え方が変わってくるかもしれませんよ。


ライカM6TTL
エルマリートM28/2.8初期型

●プロフィール
◆年齢 46歳
◆出身地 東京都
◆趣味 色々
◆職業 会社員

 

ライカR8
ビソ エルマー 65mm/3.5 PL使用

 

ローライフレックス2.8F
プラナー80mm/2.8

 

【 洪伝明(こう でんめい)さんへのインタビュー 】

大貫カメラ
スタッフ

(以後スタッフ)
よろしくお願いします。
洪さん こちらこそよろしくお願いします。
スタッフ

先ず最初に、クラシックカメラとの出会いのきっかけというのは?

洪さん 約5年前に父からライカM3を譲ってもらったというのが最初なんですよ。
で、その時にMCメーターがついてたんですけどもそれが壊れてて、大貫さんに来て修理して頂いたのがそもそものきっかけですね。
今も持ってるんですけども、このM3を調べてみたら、当時親父が買ってずっと持ってたやつで、結局オーバーホールして使ってるんですけども、これがね私より年上なんですよ。
スタッフ どれぐらい前のものですか?
洪さん 1956年の84万台のライカなんですよ。
スタッフ それからカメラに興味を持って?
洪さん そうですね。カメラに興味を持って。最初朝散歩をしてたんですよ、家の周りを。
で、ただ散歩するだけじゃ面白くないのでカメラをぶら下げて写真撮ってたんです。
それが5年前。
スタッフ 散歩の時の被写体としては?
洪さん 花が多かったですね、最初は。
最初2年位は普通のネガで写真を撮ってました。
で、3年位前に初めてリバーサルに変えて撮ってます。
スタッフ 今までどれくらいフィルム使いましたか?
洪さん かなり使ってますね。一週間に5本位のペースですね。土日だけで5本。
多い時には10本位撮ります。
幸い評価していただける方が近くにいたりするんで、非常に私は勉強になってますけども。
スタッフ リバーサルに変えたきっかけっというのは?
洪さん

やっぱり写りが違うっていう。

スタッフ その辺から写りに対するこだわりが?
洪さん

はい。

スタッフ 今はM3ライカ1台だけですか?
洪さん いえ。今は6×6を中心としてますけども。最初はMのレンズを揃えて、ある程度揃って。ビゾフレックスを付けて少し遊んで。それからM型を少し買って、ビゾを少し集めて、それから思い切ってライカのR一眼レフ。
スタッフ メーカーとしてはライカだけですか?
洪さん ライカをやってて、そのうち大貫さんで友達とか出来て色々やってるうちに6×6っていうのも面白いなとやり始めましたね。6×6はローライフレックスとか八ッセル使ってます。
まぁ今も散歩してるんですけど、最近は家の周りの散歩っていうとこから、大貫さんで色々友達が出来たりする中で、一緒に街の中のスナップっていうのも撮るようになりました。
やっぱり写真っていうのは自分で撮って自分でいいなっていうだけじゃ面白みがないんで、大貫カメラの鈴木部長に評価していただいたりとかして「もっとこういう風に撮った方がいいよ」だとかのアドバイスをいれて、どんどん撮っている状態ですね。

 

ハッセル500CM
C 80mm/2.8

 

ハッセル500CM
C 120mm/5.6

 

 

スタッフ 作品展とかコンテストに応募はしないんですか?
洪さん ほとんどしません。趣味ですから。別に考えてないですね。
スタッフ では、洪さんが写真を撮る時気をつけている点やこだわっている点は?
洪さん やっぱり写真って光と影だと思うんですよ。構図とか色々ありますけれども、『光と影の美しさ』っていうのはやっぱり自分のテーマとして撮ってるという気がします。
スタッフ 光と影というと、映画監督のエピソードでもよくありますけども、今は太陽が出ていないとか曇っててよくないだとか、そういう点でも待ちとかこだわりとかあったりするんですか?
洪さん そうですね。
スタッフ それが自分の思ったものになるまで待ったり移動したりとか?
洪さん 待つ、というと時間がもったいないので、どちらかというと写真よりも散歩とか歩いてる方が主体なんですね。色々散策しながら歩いてると。そのタイミングがあった時に写真を撮っていくという感じですね。ですからあくまでも気をつけている点というか、自分のテーマとしては、『光と影の美しさ』というのを求めてるんですけども。散歩の延長なんですから、私の場合はね。曇りの日も写真を撮ります。まぁ雨の日は撮りませんけど(笑)
散歩としては家の周りというのが一つあって。あともう一つは横浜の街。今日も大体5キロ位歩いたんですけどね。
被写体は最初は花だったんですよ。今は花というよりも、街の中の『光と影の美しさ』を求めてる感じですね。
スタッフ 『光と影の美しさ』というテーマですけど、洪さん自身で難しいなと思う点は?
洪さん 難しいです、確かに。でも難しいですけどあくまでも趣味の延長としてやってるんで、まず自分が納得すれば第1ステップはいいわけですね。で写真ってもっと上のステップまでいくと、いかに人を感動させるかとかそういうことになってくるかと思うんですが、今のところ難しい事にどんどんチャレンジしていくことが面白いという段階ですね。
スタッフ 趣味ということですけども、何か目指すものはありますか?
楠さん

目標にするというのにはおこがましいんですけども、やっぱりどうせ撮るには、自分にしか撮れない画というものを撮りたいんですよね。

 

ハッセル500CM
C 120mm/5.6

 

ハッセル500CM
C 80mm/2.8

 

スタッフ 将来的にはそれを集めて?
洪さん その領域で僕は終わろうかなと思っているんですけども。後は非常に面白いんですけども、写真っていうのは、街を撮るのに2、3人でブラブラしているんですけど、いいなと思ったところを2、3人で同じように撮っているんですよ。で、後で写真を見せてもらうと全然違うんですね、撮る人によって。例えば、一人が「看板がいいな」って看板を撮ってるんですけども、その看板の入れ方、構図の構成だとかにそういう事によっても写真の意味合いが変わってくるし、そういう事っていうのはものすごく面白いですね。仕上がった意味合いですね。そのへんは色々と勉強させていただいてますけどね。
スタッフ 趣味でやられてる方ですと、自分だけで終わってしまう方もいるかと思うんですが、こうしたカタチで大貫カメラさんのようなお店で店員さんや友達にアドバイスしてもらったりという事も必要ですね。
洪さん そういう意味で、今年なんですけども、横浜ハッセル会っていうクラブがあるんですけども、そこに入って色々とご指導をもらえればな、と思っています。
スタッフ 横浜ハッセル会というのはどのような会ですか?
洪さん

全国にハッセル会というのがありまして、その中の横浜地区の支部として横浜ハッセル会があるんですよ。

スタッフ それはもちろんハッセルを使って?
洪さん そうです。
スタッフ そういう形で友達や広がりを作っていって自分の写真に吸収していくという形なんですね。
やはり今一番使われてるカメラはハッセルですか?
洪さん 今は6×6でハッセルが多いです。
スタッフ それには何か理由が?
洪さん 実はその横浜ハッセル会に入ってしまったがゆえにですね、課題みたいのがあるんですね(笑)ふた月に1回会を催されるんですけども、その時に写真3枚とかスライド3枚ですとか、それぞれの課題があるんです。それで私の場合は写真のハッセルのストックっていうのがすごく少ないんですね。ハッセルやり始めて1年ちょっとなんですけれどもね、そのストックをある程度ためていかないと、撮って、いいかな?という画をすぐポッと出すというのではなく、自分の中でのランクというのがありますよね。でやっぱりいいもので講評をどうしていただくのかというのが知りたいんで、いいものを持っていきたいんで、今はハッセルを中心に写真を撮っています。
スタッフ なるほど。
横浜ハッセル会はどのような先生方がいらっしゃるんですか?
洪さん フリーのカメラマンの先生がいらっしゃいますよ。約10名ちょっとですか。結構高年齢なんですよ、みなさん。50代後半から60とか。そのようなメンバーがほとんどです。私なんかは新入りで若い方なんですよ。そういう方たちと、普通仕事とかでもあまり接しないですよね。そういう方たちの話を聞けるって言うのは面白いんですよ。

 

ハッセル500CM
C 120mm/5.6

ライカM6TTL
ズミクロンM90/2初期型

スタッフ では、最後なんですが、これから写真を始める方へアドバイスがありましたらお願いします。
洪さん とにかく写真機にフィルムを入れてシャッターを押さないと始まらないものなので、とにかくいっぱい撮って下さい、としか言いようがないですね。いっぱいというか、自分でいいなと思ったものを写真に撮る。撮ってみて、自分の中でここが良かったんだけどなと思ったところがありますよね。それを例えば仲がいい友達だとかにどう思うか聞いてみて「全然ダメだよ」って言われるかもしれないけど、何回も何回も繰り返していると、こういうところがいいんだとか、自分はこう撮ったつもりなんだけども仕上がりはこういうふうにしかならないだとか、フィルムの性格ですとかわかってくるようになりますので。とにかく自分でいいなと思うものを撮る。いいなと思うものは人それぞれですから。
スタッフ 洪さんの場合はそれをハッセル会で評価していただいたりするんですね。
洪さん 『光と影の美しさ』というのはテーマ的には非常に難しくて終わりがないものだと思うんですよ。それはそれでいいと思ってるんですね。だから楽しい。終わりがないから楽しい。正解がない。写真というのはそういうものだと思ってるんですけどね、評価する人によって全然違う。だけどその人が何を評価するのかっていう考え方みたいなものが聞けるわけでしょ。そこが勉強になるんですね。自分と違う感性とか持ってるわけですから。ある程度写真をやってる大先輩ですとか色んな方がいらっしゃいますんで、その方の考え方を聞けるっていうのが非常にいいことじゃないかなと思いますけども。例えば、写真を撮って自分で100点と思っても、人から見たらそれは50点かもしれない、40点かもしれない。それはそれで僕はいいと思うんですよ。で僕もその100点を人に押し付けたりしないんです。そこが難しくて。でも逆にそこから引き出してくれる人もいるわけですよね。そういうことがものすごく勉強になりますね。
ただ撮ってくれば、とか、あれがいいね、悪いね、ではなく、それを介して人とコミュニケーションをとって自分を高揚させていって写真を撮っていって欲しいですね。
スタッフ 非常に参考になりました。
洪さん

写真のいいところっていうのは、実は自分の父親が僕が生まれた時からの写真を撮っててくれたんですよ。産湯に浸かった写真から。それっていうのは約50年位前の映像が現時点で目の前で見れるわけでしょ。静止画で止まってるけど。それってすごい事でしょ。人間の記憶っていうのはどんどんどんどん昔の事を忘れていく、でもその時代に瞬間移動できる。その辺がものすごくいいものだなって思いますけど。

スタッフ タイムマシンでもあり、コミュニケーションツールでもあり…
洪さん タイムシフトコミュニケーションというところですかネ。
スタッフ なるほど。
洪さん …また自分の自己表現の手段でもあるわけです。
スタッフ 洪さんはこれからも横浜ハッセル会や大貫カメラさんとお付き合いして自分も高めていくわけですね。
洪さん 高めたいと思います。最近街で歩いてて、恋人同士で遊びにきてる人に写真撮って下さいって言われるシーンあると思うんです。その時に写真を撮ってあげたりするんですけども、その時きれいだとか言ってもらえると嬉しいでしょ。
スタッフ 最近はデジカメが多いのでその場で見れますからね。
洪さん

カメラという道具を通して色んな楽しみ方や遊び方をできるっていうのが、カメラの魅力だと思うんですけどね。ただやっぱり難しいので。っていうのも、今は理想像みたいのを語ったんですけども、人と人っていうのは非常に難しいですよね、コミュニケーションが。やっぱりいい人ばっかりじゃないんですよね。中には怖い人もいらっしゃるし。そのへんは人を見ないといけないんで、これが全てじゃないんですよね。そのへんはなかなかキャリアを積まないと分ってこないんじゃないかなと思いますけれども。

 

ライカM3
ズマリットM50/1.5

スタッフ 最初はフィルムを入れてシャッターを押して自分が良いと思うものを撮ると。
洪さん そして大貫カメラさんの鈴木部長に見せてアドバイスをいただくというとこから始められると上達が早くなるんじゃないですかね。
スタッフ 今日は本当にありがとうございました。

洪さん

こちらこそありがとうございました。

 

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大貫カメラ: ohnuki.c@lily.ocn.ne.jp