今回は、アマチュアカメラマンの黒川正彦様に貴重なお時間をいただき、2014年12月4日にインタビューさせていただきました。

プロフィール:黒川正彦

大貫カメラ歴:30年以上
出身地:神奈川県
所有カメラ:ライカ・ニコン多数

 

インタビュアー)

それではよろしくお願い致します。

黒川)

お願い致します。

インタビュアー)

大貫カメラとの付き合いは、どれくらいになるのでしょうか?

黒川)

古いですね…。高校生くらいの時からになります。

インタビュアー)

そうですか。

黒川)

高校生の時はお金が無いので、カタログをもらいに来るとか、覗きに来るぐらいでしたね。

インタビュアー)

はい。

黒川)

実際にカメラを買うようになったのは…勤めてからですね。…だから30年くらいになるでしょうか。

インタビュアー)

カメラを買うようになってから30年ですから、実際の付き合いは…30年以上になりますね。

黒川)

そうですね。

インタビュアー)

という事は、お住まいは地元の…

黒川)

はい、わりと近場に住んでおります。

インタビュアー)

高校生の時にカメラに興味があった…という事は、何かきっかけのような物があったのでしょうか?

黒川)

僕の父親がニコンFを持っていまして、僕自信は記憶が無いのですが、そのカメラを幼稚園・小学校の頃にいじりたがっていたそうなんですね。

インタビュアー)

やっぱりお父様がいじっていたから真似して…

黒川)

それで父親が使っていなかったオリンパスPENのハーフ判のカメラがありまして、それを小学校3年くらいの時にゆずりうけて使っていたのが始まりですね。

インタビュアー)

ではカメラとの付き合いも随分と長いですね。

黒川)

そうですねえ。それで小学校の頃はまだお小遣いも無いので、フィルムも買えませんし…

インタビュアー)

当時はまだフィルムだったり現像だったりでお金がかかりましたからね。

黒川)

ええ。

インタビュアー)

今みたいにデジタルでは無い時代ですからね。

黒川)

ですから撮影したい時にはカメラの裏蓋をあけて、すりガラスをあけて、シャッターを押して覗いたりしてみて…そんな事をやっていました。

インタビュアー)

ええ。

黒川)

でも中学校に入ってから、父親のニコンのレンズを借りるという約束で、普及型のカメラをお年玉で買って、それで写真を撮っていました。

インタビュアー)

ではお父様の影響が…

黒川)

そうですね、大きいですね。

 

インタビュアー)

例えば中学校、高校の時に写真クラブのような物にはいられたりしていたのでしょうか?

黒川)

中学校の時に写真クラブは入っていましたね。そこに入る前に近所にやはり写真好きな方がいらっしゃって、「ネガがあるなら引き伸ばしに来ていいよ」と言われましたので…

インタビュアー)

それは嬉しいですね。

黒川)

そこで手ほどきを受けたのが最初で、中学校の時に写真クラブに入って本格的に部活動として始めました。

インタビュアー)

中学校で写真クラブがあるっていうのは、少し珍しいですね。暗室も必要ですし。

黒川)

当時先生に写真が好きな方がいらっしゃいまして、その先生がいろいろと準備をしてくださいました。

インタビュアー)

ではもう本当に写真に関しては、それからずっと続けていらっしゃる、まさに筋金入りなわけですね。

黒川)

いやもう、とんでもございません

インタビュアー)

それで高校生になって、大貫カメラに通ってカタログなどをもらうようになって、働くようになってからはカメラを買うようになって…という事ですね。

黒川)

はい。最近では大手カメラチェーン店なども横浜に出来てきましたけど、当時はまだ東京に行かないとありませんでしたし…。

インタビュアー)

そうですね。新宿など都内の方だけでしたね。

黒川)

新品のレンズなどを大量に扱っているとなると、大貫カメラさんになるんですね。歴史も古いですし…。

インタビュアー)

その当時からずっと通われているわけですね。

黒川)

ええ。

インタビュアー)

大貫カメラを知ったきっかけというのは?

黒川)

今は無くなってしまったんですけど、以前は伊勢佐木町にもお店があったんですね。

インタビュアー)

はい。

黒川)

今は別のお店が入っているんですけれど…伊勢佐木町通りに入ったすぐ目立つところにあったので、行けばすぐ目についたんですよ。

インタビュアー)

ではもう何気なく歩いていたら、目に入ったと…。

黒川)

そうですね。それがきっかけですね。伊勢佐木町通りって、中古カメラのお店が何軒かあったんですよ。

インタビュアー)

今よりは多かったでしょうね。

黒川)

そうですね。多かったですね。

インタビュアー)

そういう個人経営のお店は、今は少なくなりましたからねえ。

黒川)

ええ。それで伊勢佐木町に行けば、そういう中古レンズのお店が大貫さんを始めていっぱいあったので、よく通っていました。

インタビュアー)

ひと通りお店を見て回って…という事ですね。

黒川)

はい。

インタビュアー)

そうやってカメラに触れていった、という事ですね。最初に買ったカメラは覚えてらっしゃいますか?

黒川)

ニコマートというカメラでした。ニコマートFTNです。それが自分で最初に買ったカメラでした。

インタビュアー)

いくらくらいしたかは、覚えてらっしゃいますか?

黒川)

3万円くらい…でしたかね。

インタビュアー)

当時の3万円というと…

黒川)

中学校一年の3万円なので、かなりになると思いますよ。お年玉で一~二年分くらいですから。

インタビュアー)

そうですね、かなりですね。

黒川)

ですからレンズはとても買えないので、父親から借りて使っていました。ボディだけ買ったんです。

インタビュアー)

それはもう思い出深いカメラですね。

黒川)

そうですねえ。

インタビュアー)

…それから大貫カメラであったり、他のカメラ屋さんに通って…

黒川)

はい。少しずつレンズを増やしていってたりとか、付属品を買ったりとかフィルターとかをちょこちょこ買ったりとか…それくらいの小物であれば1000円くらいで買えるので、高校生くらいでもなんとか買える額でした。フィルムを買ったり現像したり…

インタビュアー)

はい。

黒川)

それで高校の時も当然写真部でしたので、「作品」を意識したというか、少し背伸びしたような、そういう写真を撮ったりしていました。当時の雑誌なども見て、作風を真似したりして…

インタビュアー)

そうですね。参考になるような写真がいっぱい掲載されていますしね。

黒川)

そうですね。

 

インタビュアー)

今はカメラは何台くらいお持ちなのでしょうか?

黒川)

…正確には数えてないですけど…300台までは行かないと思います。

インタビュアー)

それでもかなりお持ちですね。

黒川)

ライカとニコンが多いですね。

インタビュアー)

それは例えば状況に応じてカメラを使い分けたり、あるいは一つお気に入りを決めて使ったり、というのはあるのでしょうか?

黒川)

最初は、大学に入った時に中古のライカを使いたくて買ったんですね。

インタビュアー)

やはりライカは憧れだったんですね。

黒川)

ええ。それで好きな写真家で木村伊兵衛さんとか何人かいて、そういう方々の撮影機材を見るとみんなライカなんですね。

インタビュアー)

そうですね、みなさんライカですね。

黒川)

それで「ああ、ライカってのはいいカメラなんだなあ」と憧れを持ちまして…。それで中1から高3まではニコマートのカメラを使っていたのですが、大学に入ってからはアルバイトをしてお金を貯めて、それで初めてライカM3というのを買ったんです。それでその時はまだ「この時はM3がいいな」とか「こういう所ではM2を使うといいな」とやっていたのですけれど、だんだんとこう…ライカって歴史が古いので、使っていると歴史が見えてきて、それを辿ってみたくなってきたんですね。

インタビュアー)

ああー、なるほど。

黒川)

それでコレクションに行ってしまったんですね。

インタビュアー)

なるほど。

黒川)

元々は写真を取る目的で、こういうライカああいうライカ、こういうレンズああいうレンズ、とやっていて買い集めていたんですけど、段々とコレクション目的になってしまったんですね。

インタビュアー)

全く撮影しない、というわけでは無いんですよね?

黒川)

はい。個展も二回ほどやっていますし、あとグループ展も…モノクロ銀塩写真のサークルに入ってまして、撮影会なども必ず行っています。

インタビュアー)

ではコレクションをしつつも、撮影はやっている、という感じでしょうか。

黒川)

そうですね。僕は「撮るために買っている」というように、言い訳かもしれませんが、そういうつもりで買っています。

インタビュアー)

今メインで使われているのは、例えばライカを中心にいろいろと使い分けているということでしょうか。

黒川)

ええ、ライカのM3であったりM6であったり、状況に応じて使い分けています。今日はこっち、明日はこっちとなりますけど、基本的に距離計のカメラとか、ミラーが入っているような小ぶりなカメラが好きなので、使っています。

 

インタビュアー)

撮影はどういったものを中心に撮影されているのでしょうか?

黒川)

街なかのスナップが中心です。人物が街なかで活動しているところ…例えば人の動きと街を構成する建物のラインとかが一瞬シンクロする瞬間があって、それを「いいな」と思うんですよ。

インタビュアー)

街だけでは無く、人がいて動いて…まさに偶然の一瞬ということですね。

黒川)

はい。街は止まっているんですけれども、自分なりに「動き」を感じられる時があって、その時を狙う感じです。それにはやっぱりライカを持ち歩くのが一番楽だし、そういう所を撮り歩いているという感じですね。

インタビュアー)

では普段、どこかへ行かれたり散歩をする時などは…

黒川)

常にカメラを持ち歩くようにしていますね。

インタビュアー)

確かにライカは小さいので、持ち歩きに便利ですね。

黒川)

そうですね。今日も持ってきているんですけれど…これが良く使うカメラです。

 

インタビュアー)

これはどういったカメラですか?

黒川)

これは…デイヴィッド・ダグラス・ダンカンという人がライカに特別に作らせたカメラ、というのがあるんですけれど、それの雰囲気を真似たイミテーションです。

インタビュアー)

へえ。

黒川)

今から15年位前かな?まだこういう厚塗りのボディというのがあまり無かった時代に、自分でメッキを剥がして、塗装は専門のところに頼んだんです。

インタビュアー)

ご自身でメッキを剥がされたんですか。

黒川)

これをいつも使っていて、とても手に馴染んでいます。

インタビュアー)

やっぱりご自分で細工されたので、余計に愛着が強いでしょうね。

黒川)

ええ、もっとキレイなカメラもあるんですけれど、どうしてもこれを持ち出す事が多くて。

インタビュアー)

でもやっぱり、最後はそういう所に行き着くのかもしれませんね。

黒川)

そうだと思います。高いとか有名だとかじゃなくて…

インタビュアー)

普段使い慣れていたり、手を入れていたり…そういう事ですよね。なんでも。

黒川)

ええ。

インタビュアー)

では普段お休みの時などは、カメラを持って散歩されたり…

黒川)

ええ。撮る場所は桜木町周辺であったり、自分の家の近くだったり…家の近くが工場地帯で、海のそばに工場が見えたりしますので、その辺りに行ってみたりしています。

インタビュアー)

ええ。

黒川)

釣りをしている人もいたりして、結構面白い風景になるんですよ。


インタビュアー)

写真はモノクロ中心のようですが、何かこだわりがあるのですか?

黒川)

やっぱりモノクロの方が、光とか影とかキレイに見えてくるんですよ。色に邪魔されないんです。

インタビュアー)

色があると、どうしても色に目が行ってしまいますよね。撮りたい物がちょっとぼけてくるというか…。モノクロだと、撮りたい物がハッキリ見えてきますよね。

黒川)

そうですそうです。建物のラインとか人とか撮る時に、カラーだと余計な物がどうしても入ってきて邪魔をしてしまうんですよ。やっぱり単純にモノクロの方が、僕の場合はいい写真になりますね。

インタビュアー)

色って確かに余計な情報ですよね。無い方がスッキリとする事がありますし。

黒川)

デジカメでモノクロで撮る、という事もたまにやるんですが、フィルムの方が自分の性に合っていますね。デジカメだとどうしても結果が見えてくるのが早すぎてしまって…

インタビュアー)

ああ、そうですね。

黒川)

フィルムだと撮影して現像して見て…という楽しさもありますし…逆に「今日はいいのを撮ったぞ!」というのが段々そがれていって、撮影したのを見ると「あれ、こんなだっけ?」という事もありますね。

インタビュアー)

やっぱりご自分で現像して引き伸ばしてが込みの、撮影ということですよね。

黒川)

はい。

インタビュアー)

ではデジカメは持たれていないんですか?

黒川)

いえ、ニコンのデジカメは一応持っています。

インタビュアー)

でもやっぱり中心は…

黒川)

ライカで、フィルムで…ですね。

インタビュアー)

でも今ってフィルムを手に入れるのが、大変では無いですか?

黒川)

それがアメリカとかのサイトを見ると、結構安く売っているので、それを大量に購入して小出しに使って…というようにはやっています。

インタビュアー)

現像はご自身でやられているのですか?

黒川)

はい。

インタビュアー)

ではご自宅に暗室が?

黒川)

いや、暗室というほどでは無いのですが、ちょっと仕切ったりしてお座敷暗室みたいな感じのものですね。

インタビュアー)

となると、更に印画紙なども必要になりますよね?

黒川)

ええ、それもやはり海外で買うと色々種類があるんですよ。

インタビュアー)

なんでも海外の方が安いんですね。

黒川)

そうですね。そして種類もありますね。日本は何か一つ出来てしまうとみんなそっちに行って、古いのを捨ててしまいますからね。

インタビュアー)

勿体無いですよね。

黒川)

私が通販で利用しているサイトは、親しくしていただいている写真家の方から教えていただいたんですよ。いいのが揃っているので、ずっと使っています。

インタビュアー)

送料を考えても安いでしょうね。そこで大量に買って…

黒川)

ストックして、必要なときに使うようにしています。

インタビュアー)

大体一年で何枚くらい撮影しますか?

黒川)

その時にもよりますが…若い頃は頻繁に撮っていましたが、今だと年にフィルム50本くらいでしょうか…。

インタビュアー)

週に1本くらい…

黒川)

そうですね。

インタビュアー)

大貫カメラには、週にどれくらいいらっしゃるんですか?

黒川)

仕事の帰り道なので、わりと頻繁に顔は出しています。

インタビュアー)

ではもう店員とは顔なじみですね。

黒川)

ええ。

インタビュアー)

30年前からいる店員さんというと…

黒川)

もうでもお一人くらいじゃないでしょうか?当時からいらっしゃるのは。社長も先代でいらっしゃいましたし。


インタビュアー)

今後欲しいカメラであったりとか、撮りたい写真であったりみたいな目標はありますか?

黒川)

今の形を続けていって…記録として残していきたい、という事でしょうか。自分が死んだ後でもこの界隈の写真が残っていれば…30年後も40年後も記録として残っていくでしょうし…。写真の本質的な意味合いなどを考えつつ、今のスタイルを続けていければな、とは思っています。

インタビュアー)

はい。

黒川)

ただどこかでフィルムが使えなくなって、デジカメになっていくのかな、とは思うんですが、出来る限りフィルムで残していきたいな、とは考えています。

インタビュアー)

例えば個展であったりとか…

黒川)

個展はいずれ開催したいのですが、仕事の関係で平日の店番が出来ないんですね。

インタビュアー)

ああ、確かにそうですね。

黒川)

新しく大貫さんのギャラリー(Focus Point)も出来たので、誘われてはいるんですが、そういう事情がありますので…

インタビュアー)

なかなか難しいですね。

黒川)

以前やった時は、ゴールデンウィークだったり長い連休を使ったりとか、あるいは店番がいてくれるギャラリーを使ったりしたんですが…。今はなかなか難しいですね。

インタビュアー)

いずれそこがクリアできれば…

黒川)

やりたいとは思います。

インタビュアー)

例えば撮影で海外などに行ってみたいとは思いますか?

黒川)

行ってみたいとは思うんですけどね…仕事で出張が結構あるので、地方の都市とかは良く行くのですが、そういう地方都市にふらりと行ってみるのもいいですね。

インタビュアー)

ちょっと田舎みたいな…

黒川)

そうですね。

インタビュアー)

風景が変わると目先も変わって面白いですよね。撮影場所を探すのも、また楽しみ方の一つですよね。

黒川)

ええ、そう思います。

インタビュアー)

ではいずれは海外へ…

黒川)

そうですね、今と同じ目線を持って海外へ行って、風景とかを撮影してみたいですね。

インタビュアー)

それで個展を開ければ…

黒川)

いいですね。

 

インタビュアー)

普段カメラの管理はどうされているんですか?

黒川)

そんなに大きくないんですが、戸棚に入れています。風を通して湿気がたまらないよう、注意しています。やっぱり湿気は大敵ですからね。

インタビュアー)

…ちなみにご家族の方は、なんと言われてますか?

黒川)

まあもう、あきらめてますね(笑)。

インタビュアー)

でもまさにカメラと共に過ごした30年なんですね。

黒川)

ええ、他にも趣味はあったんですが、カメラはいつも一緒に持っていくようにしていました。マウンテンバイクだったりスキーだったりするんですけど、カメラは一緒に出来ますからね。

インタビュアー)

邪魔にならないですからね。

黒川)

ええ、そんなには。

インタビュアー)

行った先の風景を撮影したりと、両立できるものですからね。

黒川)

はい。やっぱり写真が最終的に残ったんですが、それだけ自分が好きなんだな、という事なんでしょうね。

インタビュアー)

自分に染み付いてしまった、という事ですよね。

黒川)

そうですね。小学校3年からですからね…

インタビュアー)

今欲しいのだけれども、どうしても手に入らないカメラとかってありますか?

黒川)

フィルムカメラで、ライカのMPというのがあるんですが、それはもう値段が1000万くらいしますんで…

インタビュアー)

それはさすがに…

黒川)

もう夢ですね、まさに。もし宝くじでも当たれば欲しいな、というカメラですね。

インタビュアー)

1000万となると、もうコレクターズアイテムですね。

黒川)

そうですね。究極のアイテムですね。

インタビュアー)

それはもちろんフィルムカメラで…

黒川)

ええ、1955年くらいの物です。フィルムカメラって単純な機械なので、ずっと動いてくれるんですよ。

インタビュアー)

そこはデジカメとの最大の違いですね。

黒川)

そうですね。劣化しない、古くならないんですね。デジカメは新しいのが出ると、絶対そっちのがいい機能がついてますからね。画質がよくなったりとか…。そういう所が自分がデジタルにのめり込めない要因の一つでもありますね。

インタビュアー)

なるほど。

黒川)

家電でもそうですけど、一つ気に入ったものをずっと壊れるまで使い続けていく、というのが自分のスタンスなんですよ。新型が出てすぐに買い換える、というのはあまりしないんです。ちょっと自分に合わないんですよ。

インタビュアー)

そうですね。デジカメというのは、基本どんどん新しいのに買い替えていく、というパターンですからね…。

黒川)

そうですね。自分の慣れたものを慣れるように、自分の使いやすいように使いこんでいく、というスタンスです。

インタビュアー)

なるほど。そうやって自分だけのカメラにしていく…という感じですね。

黒川)

そうですね。自分の手に馴染んだカメラを巻き上げてシャッターを押して…

インタビュアー)

やっぱり他のカメラでは、ちょっと調子が違ったり…

黒川)

しますね。リズムが違ってきたりします。

インタビュアー)

ではその手に馴染んだカメラを使って、今後とも撮影を続けていく、ということですね。

黒川)

はい。これからも続けていきたいと思います。

インタビュアー)

最後に…このインタビューページをご覧になっている方に、何かメッセージであったりとか、もしありましたら…

黒川)

自分のスタイルだからこういう話になってしまうのですが…写真って「記録性」がすごく大事だと思うんですよ。そういう視点を忘れずに…良くベテランの方が「ここは絵にならない」なんて言い方をしているんですけれど、でもそういう所でも、とりあえず一枚二枚シャッターを切っておき残しておく事に意味があるんじゃないかな、と思うんです。

インタビュアー)

そうですね、後になって「あの時撮っておけば…」と思うよりは…

黒川)

ええ、その場所には二度と行かないかもしれないですから。

インタビュアー)

まさに「一期一会」の精神ですよね。

黒川)

そうですね、そこでのシャッターチャンスとか、そこでシャッターを切っておくことの意味ですとか…「記録性」という事から考えると、すごい大事なんじゃないかなあ、と思うんです。

インタビュアー)

そうですね…街の風景とか、ほんの五年くらいで随分変わりますからね。商店街のお店が閉まったりして、ここには何のお店があったっけ?とわからなくなったり…

黒川)

そうなんですよ。僕も地元で写真を撮っていても、案外馴染み深い場所って撮ってなかったりするんですよね。あまり近所だとカメラ持って歩いていると、気恥ずかしいというのもあったりするんですが、今考えると撮っておけばよかったな…と思う事が良くあります。

インタビュアー)

十年二十年たった後に見てみると、また違った意味を持ってきますよね。

黒川)

そうなんですよ。歴史的価値とか思い出とか…人間って過去の事を知るってすごく大事だと思うんですよ。その拠り所ってカメラしか無いわけで。

インタビュアー)

例えば記念日とかちょっとしたお祭りだったら撮影するでしょうけど、普段の何気ない一日って写真は撮らないですしね。

黒川)

そうなんですよねえ。でも本当はそういう何気ない日の方が大事なんですよ。それを考えると、やっぱり写真を撮り続けていくべきだな、と常々思います。

インタビュアー)

そのためには普段からカメラを持ち歩いて…

黒川)

そうですね。

インタビュアー)

手軽で手に馴染むものを持つようにするという事ですね。

黒川)

ええ。実は今日もう一台カメラを持ってきていて…これがニコンの一番小さいデジカメなんですけど…

インタビュアー)

すごい小さいですね。

黒川)

ええ。自分の主義には反するんですが、ちょっとした撮影をするにはいいんですよね。つい先日もたまたまライカを持っていなかったので、このデジカメで赤レンガのクリスマスモニュメントを撮影してきたんです。

インタビュアー)

ああ、いいですね。

黒川)

とりあえず撮っておいて、記録にしています。

インタビュアー)

一時的な記録ということですね。

黒川)

いつもライカを持っているとは限らないので、そういった時に重宝しています。

インタビュアー)

日常的な記録には、小さいカメラの方が便利ですよね。

黒川)

水俣病などを撮影したユージン・スミスという写真家がいまして、色んなカメラを使っていたらしいんですが、最低でもミノックスというすごい小さいカメラを常に持っていたそうなんですよ。カメラを持ち込めない所でも、とりあえず写真を撮る、という気構えだったらしいんです。

インタビュアー)

ああー。

黒川)

私はそれを真似したわけでは無いんですけれど…

インタビュアー)

特に報道カメラマンの方達は、そういった気構えは必要でしょうねえ。

黒川)

そうですね。

インタビュアー)

でもそういう所からスクープなどが生まれてくるんでしょうね。

黒川)

ええ。

インタビュアー)

普段からカメラを持って、何気ない風景を撮る事が面白いという事ですね。

黒川)

例えば「今日はいわし雲が出ているな」とか撮影して、勤務先で見せれば言葉だけじゃない記録としても残りますしね。

インタビュアー)

そういう何気ない一枚のほうが、後々思い出になったりしますからね。

黒川)

はい。そういうスタンスでこれからも撮影していきたいと思います。

インタビュアー)

本日はどうもありがとうございました。

黒川)

ありがとうございました。

 

作品、インタビューなど何でも結構ですので、ご感想をお聞かせください。
お待ちしております!
大貫カメラ: ohnuki.c@lily.ocn.ne.jp