今回は、アマチュアカメラマンの朝賀誠様に貴重なお時間をいただき、2015年10月24日にインタビューさせていただきました。

プロフィール:朝賀誠

カメラ歴:約40年(ブランクあり)
カメラ:ニコン、オリンパス

インタビュアー)

それでは今日はよろしくお願い致します。

朝賀)

お願い致します。

インタビュアー)

まずカメラとの出会いについてお聞きしたいのですが…始めてカメラに触れたのはいつでしょうか?

朝賀)

一番最初にカメラを買ったのは、中学1年生の時でしたね。

インタビュアー)

それは何かきっかけがあったのでしょうか?

朝賀)

良く覚えてはいないのですが…とにかく写真が撮りたいと思って、お小遣いとお年玉をためて自分で買いましたね。

インタビュアー)

例えばご家族やご友人の影響などでカメラを買った、という方もいらっしゃいますが…

朝賀)

あえて言えば、父親がカメラを持っていたのですが…ほとんど仕事で使っていましたね。

インタビュアー)

なるほど。

朝賀)

だから好きでカメラを持っていた…という感じでは無かったですね。

インタビュアー)

ではお父様に影響を受けて…という事では…

朝賀)

無かったですね。特に積極的にカメラを使っていたというわけではありませんでしたし。

インタビュアー)

ではそういう影響などでは無く、中学1年生の時に突然カメラが欲しくなった…

朝賀)

そうですね。突然カメラが欲しくなって、写真を残したいと思うようになりました。

インタビュアー)

ちょっと珍しいパターンですね。

朝賀)

そう言われると確かにそうですね。ただ思い返してみれば、あの当時はアイドルが新曲のキャンペーンなどで良く地方まわりやデパートまわりなどをやっていて、比較的簡単に見れた時代だったので、そういうのを撮りたいと思っていたのかもしれません。

インタビュアー)

なるほど。

朝賀)

実際カメラを買って何を撮影していたかというと、そういうアイドルのイベントだったり…後は学校の宿題などで使う神社仏閣などの写真を撮影していました。中学の頃には写真クラブにも入っていましたし…。

インタビュアー)

その時に買ったカメラの機種は何でしょうか?

朝賀)

コニカのC35でしたね。

インタビュアー)

でも中学生で自分でカメラを買うのは、大変だったのでは?

朝賀)

当時で確か2万円程度だったと思います。コンパクトなカメラでした。オートフォーカスなどが出る直前でしたね。カメラを買うのがもうちょっと遅かったら、そういうオートフォーカスを買っていたと思います。

インタビュアー)

なるほど。

朝賀)

母の実家が鎌倉だったので、あの当時月に一度は鎌倉に行って、風景や神社仏閣の撮影をしてましたね。今から考えれば渋い趣味ですけど、鎌倉のお寺などへ行ってましたね。

インタビュアー)

鎌倉はいいお寺がありますからね。

朝賀)

ただあの頃の鎌倉は今と違って、観光客がまだ少なかったんですよ。その少し後くらいにドラマの影響で知名度が上がって、観光客が一気に増えましたね。

インタビュアー)

そうですね。

 

朝賀)

それで今度は高校に入ってから、望遠レンズが使いたくなって…レンズを交換して撮影をしたいという気持ちが出てきたんですよ。

インタビュアー)

コンパクトカメラでは、レンズの取替えができませんからね。

朝賀)

高校1年か2年の頃に一眼レフ…今度はミノルタのXDとレンズをいくつか買いました。

インタビュアー)

何故機種をミノルタに変えたのですか?

朝賀)

その頃父親がミノルタのレンズを持っていたんですよ。キヤノンのカメラとどっちにしようか悩んだんですが、ミノルタなら父親のレンズを借りて使えるな、と思って…。

インタビュアー)

確かにレンズも一緒に買うとなると、大変ですからね。

朝賀)

その頃もまだアイドルの撮影をしてましたね。当時大人気だった柏原芳恵さんが学校の近くに来たので、撮影したのを覚えています。

インタビュアー)

80年代前半くらい、アイドルブームの頃ですね。

朝賀)

今も撮影対象はあまり変わらないですけどね。

 

インタビュアー)

ではそのままずーっと今までカメラは続けていたのでしょうか?

朝賀)

それがその後、就職して仕事が忙しくなったので、一旦カメラから離れた時期があったんですよ。全く撮影してなかったわけでは無いですけど、やっぱりそんなに年中カメラを持ち出すほどでは無かったですね。

インタビュアー)

ええ。

朝賀)

就職したのがゼネコンだったので、バブルに乗ってどんどんと仕事が忙しくなっていったんですよ。なのでカメラに構っていられなくなりましたね。

インタビュアー)

私が今までおうかがいしてきた中でも、やっぱり就職で一旦カメラから離れられる方は多いですね。

朝賀)

それで何年か経って少し落ち着いてきたので、また撮影をしようかなと思ったんですけど、その時に自分のレンズにカビが生えてしまっていたんですよ。

インタビュアー)

ああー。

朝賀)

また丁度その頃にオートフォーカスカメラも出始めたので、新しいのを買おうかなと思ったのですが…でもなかなか買わなかったんですよね。

インタビュアー)

それは何故でしょうか。

朝賀)

当時のオートフォーカスカメラが微妙に使いづらかったりしたんですよ。それであれこれ悩んだ末に、最終的にニコンF90Sを買いました。

インタビュアー)

メーカーを変えたんですね。

朝賀)

オートフォーカスの第二世代くらいの時代でしたね。あの頃は風景写真を中心に撮影していましたね。

インタビュアー)

はい。

朝賀)

あの頃ってよくカメラメーカーが撮影会やイベントを主催してたんですよ。

インタビュアー)

今はあまり無いですよね。

朝賀)

そういう撮影会でモデルさんを撮影してたりもしてましたね。大手カメラショップなども撮影会を主催していましたね。

インタビュアー)

なるほど。アイドルからモデルの撮影になったんですね。

朝賀)

いろいろ写真雑誌などを読み漁ったりもしましたね。それでニコンを買った頃に、大貫カメラさんを知ったんです。

インタビュアー)

なるほど。

朝賀)

新品では無く、中古のレンズを探していたんですよ。そうしたら大貫さんにたどり着きまして…。当時この辺りには他に中古カメラ屋さんがいくつもありましたからね。

インタビュアー)

中古カメラ店は、何軒かありましたね。

朝賀)

でも品揃えはやっぱり、大貫さんが一番でしたね。

インタビュアー)

ありがとうございます。

朝賀)

他のお店だと、品数が少なかったり、ジャンルが違ったりする事もありましたので…。それで通っているうちに、当時のスタッフの方と親しくなりまして。

インタビュアー)

ではもう20年以上の付き合いという事になりますね。それからはずっとニコンですか?

朝賀)

そうですね。ただその頃…バブルがはじけた頃でして、建設会社だったのでその影響をモロに受けてしまいまして…。

インタビュアー)

あー。

朝賀)

それでその後いくつかの会社を渡り歩いたりもしたんですよ。

インタビュアー)

そういう時代でしたね。

朝賀)

そしていくつか転職を繰り返して、今度はDPEショップに就職したんですよ。近所の行きつけの店でした。

インタビュアー)

はい。

朝賀)

そこの社長が、私の撮影した友達の結婚式などの写真を見てくれていて、店で働かないかと声をかけてくれたんです。

インタビュアー)

それは幸運でしたね。

朝賀)

その頃にはキヤノンにも手を出すようになりましたね。キヤノンの方が魅力的なレンズが多かったんですよ。

インタビュアー)

なるほど。

朝賀)

それでそこのお店なんですが、基本DPEのお店なんですが、撮影もやったりしていたんです。また現像も、近場の写真館などから急ぎの現像の依頼が入ってきたり、更にプロの方がイベントやパーティーなどで使用するような写真の現像プリントもやっていたんですよ。

インタビュアー)

それはかなり本格的なお店ですね。

朝賀)

もちろん一般のお客様もいるんですけど、プロのお客様もいたりして、仕上げなどに定評のあるお店だったみたいですね。

インタビュアー)

それはいい経験になりますね。

朝賀)

撮影の仕事も結婚式やレストランのメニュー、学校写真などいろいろ行きましたね。

インタビュアー)

その上でご自身の趣味の撮影もやられていたのですよね。

朝賀)

そうですね。プライベートで撮影会などに行っていましたね。

インタビュアー)

かなり技術が磨かれたでしょう。

朝賀)

ただある時…通勤途中なんですが事故を起こしてしまいまして…。

インタビュアー)

ああー。

朝賀)

足をケガしてしまったんですが、かなり大きいケガだったので、完治するのに2年かかってしまったんですよ。それでお店には代わりの人を入れてもらったんですが、結果としてそこを辞める事となってしまいましたね。

インタビュアー)

それは残念でしたね…。

朝賀)

まあしょうがないんですけどね。それで完治するまでずっと寝たきりだったわけでは無かったのですが、特にやる事も無くヒマだったんですよ。

インタビュアー)

ええ。

朝賀)

なので、リハビリも兼ねてなのですが、撮影会通いにハマっていた時期があったんです。その頃に撮影団体に入って、定期的に撮影会に参加したりしていました。

インタビュアー)

はい。

朝賀)

それで仕事に復帰できるようになったのが、2001年くらいでしたね。なのでカメラから離れていたのは、就職して5年くらいでしたね。

インタビュアー)

今はモデルさんを中心に撮影されているわけですね。

朝賀)

はい。今は撮影団体に入って、そこのスタッフをやっています。それで撮影会をやっていると仲良くなるモデルさんも出てくるんですけど、そういったモデルさんが結婚して、そのお子さんを撮影してくれ、と頼まれる事もありますね。

インタビュアー)

はあ。

朝賀)

他にも最近では、昔からの知り合いの息子さんとか娘さんの結婚式の撮影を頼まれたりもしますね。

インタビュアー)

なるほど。

朝賀)

このインタビューに以前出た石川俊介さんも大貫カメラを縁に知り合って、もう随分長い知り合いなんですけど、最近彼のライブの撮影も頼まれまして、ライブCDのジャケット写真にも使っていただきました。

インタビュアー)

すごいですね。

 

朝賀)

自分が若い頃追っかけていたアイドルさんが、7~8年前に復活したんですけど、それをネットで知ってSNSなどで交流していたんですけど、その方に写真を認められまして、ライブの写真なども撮影しています。

インタビュアー)

主に人を撮影されているわけですけど、上手く撮る秘訣…気をつけている事などあるのでしょうか?

朝賀)

基本的にはやはり「綺麗に撮る」というのが大前提ですね。特に被写体が女性の方中心ですし、また様々な年齢層になりますので。

インタビュアー)

なるほど。

朝賀)

写真を選ぶ時には、特に綺麗なものを選ぶようにしています。でも私は画像加工ソフトでシワを取ったりなどの加工などは、あまりしたくないんですよね。モデルさんの中には加工してほしい、と言ってくる人もいるのですが、そういう時は断るようにはしています。

インタビュアー)

はい。

朝賀)

他にも腕が太くなったり、体の線が崩れたりというのもあるのですが、でもそういうのは撮る時のポージングである程度隠す事はできるんですよ。

インタビュアー)

なるほど。

朝賀)

それは撮影をするときに、「こうしてごらん」「ああしてごらん」とモデルさんにポージングについて言うようにはしています。

インタビュアー)

ちょっとした事ですけど、違ってきますね。

朝賀)

そうですね。またモデルさんに良く言うのは、その言った事をちゃんと覚えておいてね、という事ですね。特に水着などでは体の線の隠しようが無いのですし…。また今は撮影した写真をネットなどのいろんな所で誰でも発表できますよね…

インタビュアー)

そうですね。そういう個人ブログなどいっぱいありますね。

朝賀)

それで良くモデルさんに、私が撮影したものは綺麗に撮れているけど、他の人の撮影したものはあまり綺麗に撮れていないと言われる事があるのですが、でもそれはそうでは無くて、普段から自分がどうやったら細く見えるのかとか、私のアドバイスを参考にしたり、鏡を使って研究したりとかしてほしいんですよね。

インタビュアー)

なるほど。

朝賀)

そうすれば誰が撮っても綺麗に映るよ、という事なんですね。特定のカメラマンじゃないと綺麗に映らない、というのは良くないねと。それこそ私が撮影すると翌日には筋肉痛になる、と良く言われるんですけど。

インタビュアー)

でも人に見られる商売ですからね。そこはやはり自分で覚えていくしか無いですよね。

朝賀)

他にも昔付き合いがあったモデルさんのお子さんの写真だったり、ライブの写真であったり…。今はそういうのを中心に撮っていますね。

 

 

 

 インタビュアー)

今はもうほとんど人物が中心なんですね。

朝賀)

そうですね。風景も撮らない事は無いんですが…この辺りだったら夜景だったり花火だったり、そういうのですね。

インタビュアー)

なるほど。今はもう完全にデジタルですか?

朝賀)

デジタルですね。フィルムは使っていません。

インタビュアー)

こういう写真はやはり狙って撮るのでは無く、何枚も撮った中から選ぶ形ですか?

朝賀)

狙って撮ることもあるのですが…特に赤ちゃんはなかなか狙えないですね。どうしても動いてしまいますし。

インタビュアー)

そうですね。

朝賀)

もうフォーカスをあわせるだけで大変です。難しいですね。一緒に遊んだりして慣れる所から始めないとです。

インタビュアー)

でも赤ちゃんに限らず、撮影対象と仲良くなるのは大事ですよね。

朝賀)

それは大事ですね。モデルさんもそうですけど、ある程度コミュニケーションがとれてないと…。仲良くなれば「朝賀さんだったらいいよ」という話も出てきますし…。

インタビュアー)

人間相手だと心を開いてくれないと、いい写真は撮れないということですね。

朝賀)

そうですね。だからこそ昔知り合いだったモデルさんから、十数年たった今になって撮影の依頼を受けたりするんでしょうね。

インタビュアー)

それはコミュニケーションだけでは無く、やはり腕前もあったから、という事なんでしょうね。

朝賀)

そうかもしれませんね。

 

インタビュアー)

では今までもこれからも、人を中心に撮影を続けていかれる、という事ですね。

朝賀)

もちろん風景などを全く撮らないというわけでは無いんですけどね…。そういえば写真店勤務の時に新しくカメラを買われたお客さんに、使い方を教えてくれと良く聞かれた事がありましたね。何人かのお客さんには、「先生」と呼ばれたこともありましたね。

インタビュアー)

はい。

朝賀)

それはお客さんともコミュニケーションをとっていたという事なんでしょうね。今でも付き合いが続いている方もいます。

インタビュアー)

それは先程のモデルさんの話とも通じてきますけど、ある程度の信頼関係が築けている、という事ですよね。

朝賀)

そうですね。信頼関係とある程度の技術を持っていたから、という事でしょうね。そのお客さん達からは、自分に聞けば何でも答えてくれる、と言われていました。「今度出たあのカメラはどうだ」とか「あのレンズはどうだろう」とか、色々聞かれたり相談を受けたのを覚えています。

インタビュアー)

それは…例えば撮影のスクールとか講座を開催しても面白いかもしれないですね。

朝賀)

そうですね。モデルさんの中にも自分でカメラを持っている人がいて、そのモデルさんの撮影の途中の休憩時間で、カメラの使い方を教えたりする事もあります。それをやっている間に撮影の時間が無くなってしまう、という事もありました。

インタビュアー)

もしかして「教える才能」みたいなのをお持ちなのではないでしょうか。

朝賀)

う~ん、どうなんでしょうね?

インタビュアー)

ご自分ではわからないでしょうけど、他の人から見るとわかるのかもしれませんね。

朝賀)

才能かどうかはわかりませんが、確かに根気よくは教えますね。以前ある方に「他の人に教わると、こんな事も知らないのかとバカにされたりもするけど、朝賀さんはそんな事は言わないし、親身になって教えてくれる。」とは言われた事があります。

インタビュアー)

それはやっぱり才能だと思います。若い人を育てる方へ行くと面白いかもしれませんね。

インタビュアー)

では最後にこのインタビューをご覧の方に何かあれば…。

朝賀)

そうですね…例えば結婚式の写真であったり、友人の子供の写真であったりというのは、撮影していて楽しいんですよ。

インタビュアー)

はい。

朝賀)

撮っていてこちらも幸せになれますし…。

インタビュアー)

ええ。

朝賀)

自分も楽しいし、撮影することで撮られた人も楽しいですし。そういうのを撮っていくと楽しいですよね。

インタビュアー)

確かに映っている人が嫌がるようなのは、あまり撮らない方がいいですよね。

朝賀)

撮ってて楽しい写真を撮るようにするといいですよね。

インタビュアー)

今後もそういう自分も楽しい、映った人も楽しい写真を撮り続けていきたいという事ですね。

朝賀)

はい。

インタビュアー)

本日はどうもありがとうございました。

朝賀)

ありがとうございました。

作品、インタビューなど何でも結構ですので、ご感想をお聞かせください。
お待ちしております!
大貫カメラ: ohnuki.c@lily.ocn.ne.jp